あぐり通信 Vol.09(2024.09.13)

あぐり通信 Vol.09(2024.09.13)


東京からの来訪者たち

都市部の中高生が糸魚川で農業について学ぶ「いのちのみなもとに触れる夏旅」が、今年も開催されました。都内の社団法人が主催、今年で3度目となり、私たちは農業の実態や市野々集落で米づくりをする思いを伝えたり、稲刈り体験の進行など、初回から関わらせていただいています。今年も中高・大学生、さらには保護者世代と親子も参加。全員から「なんとなく体験」より「しっかりと農業を学ぶ」熱意を感じ、大変嬉しく思いました。都会とのギャップを楽しむ姿、昆虫などの生物に関心を持つ姿も印象的でした。農業に関心を持つ人の存在は私たちにはとてもありがたいこと。この体験が関心への「きっかけ」になることを願っています。このスクールで感じるのは「糸魚川のポテンシャルの高さ」です。スクールをきっかけに糸魚川に特別な思いを持ち何度も足を運んでくれる方、糸魚川の力になりたいと気にかけてこまめに連絡をくれる方がいます。そして、糸魚川に住みたいと本気で言ってくれるリピーターも……驚きです。糸魚川には、ないものも多い。でも、これほどまでに人の心を動かし、行動までも変えてしまうということは、糸魚川にしかない魅力があるからだろうと思います。糸魚川で生まれ育った多くの人々が当たり前だと思っている風景、生物、文化、人間性には、とんでもない魅力が詰まっているのかもしれません。当事者だからこそ気がつけないことは驚くほどたくさんあります。糸魚川市民の皆様には是非これをお伝えしたい「糸魚川、捨てたもんじゃない。」


ひと汗かいた後に。楽しそうで、いい!


訳アリ野菜のその先に

「早川こども食堂」さんとのご縁をいただきました。地域の方が協力して食材の栽培、調理、運営まで、すべてを自分たちの手で行い、たくさんのおいしさとよろこびを、たくさんのお客さまにお届けする……とっても素敵な食堂です。7月からその食堂で、わたしたちが栽培したなかでできてしまった「訳アリ品」を使っていただいています。生産者にとっては、収穫した作物は全て商品として出荷できることが理想の姿ですが、食べられるけれども見た目の問題で販売できない「訳アリ品」が発生してしまう現状があります。その活用の選択肢は多くはなく、せっかく採れた新鮮野菜を廃棄してしまう心苦しさから、どうにかできないものかと知恵をしぼっているところでした(もちろん訳アリ品を生み出さない栽培技術の習得も課題ですが、こちらは別の機会で)。そんな問題と向き合う中でいただいたご縁は、とても喜ばしいことでした。食堂の皆さまに調理していただき、見た目は悪くてもその鮮度から得られる風味や食感でたくさんのおいしいという声をいただくことができました。また、食堂では食材提供者としてあぐりいといがわを紹介して下さり大変ありがたい限りです。食材の作り手として、「つくった食材はロスなく、すべてをおいしく食べる」というわたしたちの課題の一つを解決するうえで、とっても頼もしい方々と出会い、このようなつながりが持てたことをとても嬉しく思っております!わたしたちを応援してくださる皆さまに、早川こども食堂さんの活動も知って頂けたら、とても嬉しいです。

Instagram @hayakawakodomo


ぶどう園の頼りになる相棒

「ゴーカート」と呼ばれるマシン。それは乗用草刈機です。農業では雑草管理が欠かせません。草刈りに使う農具や機械は様々ですが、どれも重労働。乗用草刈機は他の草刈機械と比べて疲労度は格段に下がります。使える場所は平らな場所に限られますが、これを使ったら最後、他の草刈機は使いたくなくなる、罪な草刈機です。以前のぶどう園では、人が歩きながら操作する草刈機を使っていました(これがまた重い!)。東京ドーム約1個分の広さ、ぶどうの樹や棚を支える支柱を避けつつ右に左に歩く、まさに苦行です。乗用草刈機の登場に心が躍り、肉体的疲労は軽減されましたが、障害物(樹や支柱)だらけのぶどう園では、まだまだストレスの多いものでした。現在、植替えを進めているぶどう園ですが、いかにストレスなく乗用草刈機が走行できるかを最優先に設計したと言ってもいいくらい。もう手放せない相棒です。鎌に始まった草刈りは先人の苦労と創意工夫の末、今や人が眠っている間に草刈りをしてくれる「草刈りロボット」にまで進化しています。それぞれの環境にあった草刈機を選択できる、幸せな時代に農業をできる喜びを噛みしめています。


障害物との戦いで傷だらけの相棒


編集後記

「秋バテ」と言う言葉はご存じですか。涼しいのに食欲不振や疲れが取れないなど、夏バテのような体調不良を感じることだそうです。現代病とも言われる秋バテの原因は夏の生活習慣。室内外の気温差、冷たい物の摂りすぎが身体へのストレスとなり、自律神経や胃腸のバランスが乱れたまま秋を迎えるとなるそう。この時期なんとなく調子が悪い私は、既に秋バテなのかも。ぬるめのお湯に浸かって長めの入浴や、適度な運動、温かい飲み物を摂ることなどが予防になるそうです。これからくる「食欲の秋」、お腹いっぱい食べられる万全の体調で臨みます!(山内)