あぐり通信 Vol.12(2024.12.13)

あぐり通信 Vol.12(2024.12.13)

ジオ・イノベーション ~農とジオ~

フォッサマグナで知られる糸魚川市は世界ジオパークの町。世界的に優れた地質や文化の遺産を守り、生かすためのユネスコ世界ジオパークに、日本で初めて認定された地域です。世界に認められる優れた地質が、私たちの暮らしにどう結びついているのか。そんなことを探る「ジオ・イノベーション」に講演者として参加しました。テーマは「農業とジオ」。農業事例紹介と専門家による農業事例中のジオ要素の解説、農業とジオのなじみ度合いの判定という興味深い内容でした。事例紹介として、建設会社が農業を始めたきっかけや想い、市野々での苦労話など、手汗びっしょり、震える声でお話しさせていただきました。喋り慣れた専門家の流暢な語り口にちょっとイラッとしながらも()、市野々周辺地域の地形の成り立ちや地質の特徴、農業へのメリットなどの話は、毎日市野々へ通う私たちも知らなかったことばかり。地すべりがもたらした土砂と岩塊でつくられた緩傾斜地、地すべり地域の特徴である豊富な地下水。「畦に大きい岩あるな」「水が湧いてるとこ多いな」、普段感じていることがジオと結びついた瞬間でした。多くの学びのなか気になったことも。専門家の「市野々の平ら」という言葉に「人が立つのもやっとな土手ばかりで、どこが平らだよ!」と心のなかでツッコミつつも、地球規模なら平らだなと納得し、土砂と岩を豊かな農地へと変えた先人の努力に思い至りました。私たちの活動への共感の声も聞かれ(米の注文も!)嬉しい限りです。ジオへの理解はまだまだ浅いですが、私たちがつくる米の大きな助けになる予感に満ちたものでした。


参加者の皆さんと。緊張から解放されて笑顔です。


2年目を振り返って

この一年、あぐり通信やわたしたちのSNSで賑わいをみせた「野菜チャレンジ2年目」。その成果はどうだったのか。2年目の今年は「米主特典の野菜セットをすべて自社栽培品でまかなう」「一年を通して野菜を収穫し毎月売上を出す」「チャレンジ野菜の売上で二百万円を達成する」3つの目標がありました。結果は、自社栽培品の提供率98%(内18%がスタッフの家庭菜園からの提供)、計画通り5月のレタスなどの出荷から始まり12月まで毎月売上を出せた、売上額は達成率30%だった、というものでした。目標の2つは良い結果を収められた一方で、なぜ売上目標が達成できなかったのか……。7月から9月、短時間にまとまった雨が降ることが多かった今年の糸魚川。新たに野菜栽培を始めた市野々の畑は元々は田んぼ。雨が降れば大きな水たまり、長靴が埋まり歩くだけでも大変、畑がしっかり乾くことがない状況の中、大打撃を受けたのが目標売上の半分を見込んでいた「市野々ニンジン2万本計画」です。実質売上ゼロに等しい結果となってしまいました(涙)。7月と8月に種をまいて以降、湿った土の中で育ったニンジンは大きくなれない、大きくなっても多湿でパックリ割れてしまう、先端が傷んでしまう等の生育障害が生じ、品質良く収穫できたのは極めて少ない量でした。これが売上額が残念な結果になった一番の要因です。多くの反省が残った「市野々ニンジン2万本計画」ですが、市内保育園の園児たちにニンジン収穫体験を提供できたという大きな成果がありました。引っこ抜いてはみたものの変な形のニンジン。それでも子どもたちは大いに盛り上がり楽しんでくれました。後日、園長先生から「子どもたちの食べ物に対する意識が大きく変わったと感じられる良い体験でした。」とのお声をいただきました。振り返れば、ニンジン畑では聖学院中学校と市内中学校の生徒の皆さんの協力があって、ここまでやり遂げることができました。ありがとうございました。畑の排水性を改善し管理方法も見直して、売上もしっかり出せて収穫体験も提供できる「市野々ニンジン2万本計画」、来シーズンこそは実現してみせます!


こんなのが2万本……のハズでした。

年末のご挨拶

12月に入り、今年も残りわずかとなりました。4月、わが社にフレッシュな大型新人を迎え、年々上がっていた平均年齢がちょっぴり下がりました。おかげで楽しく笑いの絶えない一年でした。女性スタッフ総勢5名が草刈機講習を受講し雑草退治に奮闘、トラクターや溝切に初挑戦したスタッフ、多品目の野菜づくりに挑戦など、今年は沢山の新しいことがありました。とても充実していましたよ。ずっとお世話になっている皆様や今年新たに出会えた皆様とのご縁を大切に、より一層励んでまいります。これからもおいしいものを沢山お届けできるように頑張ります!皆様、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。来年もよろしくお願いいたします。
スタッフ一同



編集後記

1月から始めたあぐり通信。毎月あーだこーだ言い合いながらも1年間継続できました。「毎回楽しく読んでいます」というお声のおかげです。記事を担当したスタッフの想いや気持ちを、意味を損なわず、言葉を的確に使って仕上げていく作業は、なんて楽しいものでしょう。限られたスペースにシンデレラフィット……快感です。来年もよろしくお願いします(青木)