あぐり通信 Vol.16(2025.04.15)

あぐり通信 Vol.16(2025.04.15)


糸魚川から上越へ~出荷の想い~

この度、上越市にあるJAえちご上越の直売所「あるるん畑」にトマトジュース「大農」を置かせていただきました。そこにはいくつかの想いがありました。1つ目は、沢山の収穫物をより多くのお客様にお届けしたい。昨年の野菜栽培では良いものが沢山とれましたが、それ故に新鮮な状態でお客様にお届けできず悔しい思いをしました。2つ目は、より多くの糸魚川の農地を栽培に活用したい。糸魚川では豊富な雪解け水や稲に適した土壌を活かした水稲栽培が盛んな一方、野菜や果樹など園芸品目はごく限られた規模、しかも年々縮小し空き農地が増えるという課題に直面しています。3つめは、上越の生産者と繋がりをもちたい。地域で栽培された野菜を地域のお客様に確実にお届けする方法はないかを模索。地域会員制ECアプリの導入を目指し、上越市地域を含めて関係者と協議を重ねましたが、今年度の導入は見送りになりました。それでも、この3つの想いの実現のために今の自分がたどり着いたのが「あるるん畑」への出荷でした。この一歩を踏み出すことで上越向け販路を定着させ、自社の園芸品目の品質を高めつつ上越の生産者と関わりも持ち、耕作者減少と耕作放棄地増加という地域課題と向き合いたいと考えるようになりました。とはいえ野菜作りや地域との関わりについても、まだまだたくさん学ぶことがあるわたしたち。昨年よりもパワーアップした活動内容で糸魚川のみならず上越にお住いの方、そしてあぐり通信を読んで下さっているあなたにも新鮮な野菜をお届けできるように頑張っていきます。

想いが詰まったあるるん畑デビュー


低温障害に見舞われて

3月末日に、ハウス4棟分のトマトの定植を行いました。しかし、一週間も経たないうちに、「1つのハウスだけ、全体に葉の様子が芳しくない」との報告が。植えた直後には青々してハリがあった葉が、そのハウスのものだけ、まるで脱色されたかのように白くなっていたのです。ひどいものは色の変化に加えて葉が丸まっているありさま。どうしたものかと、すぐ専門家に見ていただいたところ、低温障害だろうということでした。病気などを疑いヒヤヒヤしていたのですが、まさかの低温障害。長年トマトを栽培していて、ここまで大規模に低温障害が起こるのは初めてのことで、栽培スタッフも驚きを隠せませんでした。専門家によると、今年は植える時期が早かったことや、定植後にまさかの雪が降るほど冷え込んだ日があったことで、何らかの原因でそのハウスだけトマトが耐えられないほどの寒さになってしまったようです。残念なことに、低温障害で元気を失くした葉は元には戻りません。そこに実をつけるトマトにも影響が及ぶとのことで、苦渋の決断でしたが皆様に沢山おいしいあぐりトマトをお届けするべく、1棟丸々(約五百本)植え替えることにしました。ひとつ大きな学びを得られた20年目のトマト栽培となりました。(涙)また、今年の新たな挑戦として一部「ツイン苗」を導入しています。1つの苗で2つの幹を伸ばして育てるというものです。こちらは現段階では順調に育ってくれています。今年のあぐりトマトもお楽しみにしていただけると嬉しいです。

低温障害の実際の葉の様子


すじまきレボリューション

トマトの定植と並ぶ春の一大作業。それは稲のたねまき「すじまき」です。約20ヘクタール、苗箱にして四千枚弱を数回にわけて種まきするのですが、「時代遅れ」と揶揄される、人手を要する作業です。苗箱に土や種もみ、水を入れるのは機械がやりますが、機械への土の補充や完成した苗箱の取り出し、育苗場所で並べたりは人力です。もちろん、もっと機械力を増やす方法はありますが導入していません(理由は別の機会に)。とはいえ、春の忙しい時期、他の作業への影響を考えると人は少ないにこしたことはありません。6人を要した作業を5人でやってみよう!と、20年目のチャレンジが進行中です(恥ずかしながら今さら)。苗箱のフチを掃除するブラシを改良、土の置き場所を変更、複数の場所を1人で担当……。1人減って負担が増えた部分など改善の余地はあるものの、今年の残り5回のなかで工夫できそう、改善できそうとの米リーダーの声。何より、今回のチャレンジの意図を理解し「やってみようよ!」と決断してくれたこと、「6人いなければ……」という固定観念をぶっ壊してくれたスタッフには言い出しっぺとして感謝と喜びでいっぱいです。長年続けていると、とかく視野が狭くなりがちですが、この春に起きた小さな小さなレボリューション(大げさ))、今後も続けて、いつか「あぐりいといがわ発、農業界を揺るがす大革命!」を目指しますよ。(あまりに壮大()

5人でチャレンジ(1人は足だけ参加!?)


編集後記

各地から届く桜満開の知らせ、糸魚川はこの通信が皆さんに届く頃に見ごろを向かえそうです。通勤途中の「海川」の堤防には、およそ六百m続くソメイヨシノの並木。糸魚川でも指折りのお花見の名所です。上流に向かうと枝垂れ桜も見えてきます。こちらでは地元の皆さんによる「桜まつり」が毎年開かれ、満開の桜を楽しむ人たちで、より一層賑やかになる堤です。満開の時期を過ぎるといよいよ農繁期突入です。スタッフ一同気合を入れて頑張ります!(山内)