あぐり通信 Vol.17(2025.05.15)

あぐり通信 Vol.17(2025.05.15)


人生初!トラクターワンオペレーション

入社2年目、農業も2年目の私が、新たな一歩を踏み出しました。なんと、人生初のトラクター運転です。田んぼの土をトラクターで耕す「田打ち」を前に「乗る?やってみる?」の上司の言葉に、条件反射で返した「乗ります!」の一言。自転車と軽自動車しか運転したことがない私が、ドでかいタイヤとドでかいロータリー、重厚感たっぷりのトラクターを操れるのか、大丈夫か、私!?と思いつつも「有言実行、為せば成る!」と自分を励まし、その日を迎えました。……何とかなりました!機械を壊さず、怪我なく、打ち損じもなく終わっただけでひと安心です。扉の開け方・エンジンのかけ方すら知らなかった私が、一つ一つ教わりできるようになるのがとても楽しく、ワクワクしました。ちょっとレバーを動かすだけで、ドでかいロータリーが上下するんです。機械ってすごいですね。この当たり前のことを身をもって理解しました。「2年目」が初めてトラクター乗る!? と聞きつけた、とあるスタッフが私の勇姿を写真に収めてくれました。場所を変え、角度を変え、一生懸命に写真を撮りまくる姿は、愛娘の運動会に来た保護者のよう()。トラクターではありませんが皆さんも「田植え機」に乗れますよ!6月1日、田植え機でのリアルな田植え体験を開催します。教え上手な米のアニキが同乗するので、自転車しか乗れないあなた()でも大丈夫!田植え機、楽しいですよ(笑)。

フォトbyとあるスタッフ


畑の通路でムギ栽培

野菜畑では、何も育てない作業用のスペース「通路」を確保するのが一般的ですが、私たちは通路でムギを栽培しています。通路の乾燥硬化予防、土壌流亡防止、雑草抑制、害虫被害抑制、緑肥利用などの効果が期待できるからです。ツル性野菜のカボチャはツルから伸びた巻きヒゲが何かに絡まり自身を固定しますが、通路のムギが「何か」の役を担い、簡単に固定できます。また、ツルを平行かつ等間隔に配置でき、伸びたツルで足の踏み場がなくなる収穫の頃の悩みもわずかながら解消できます。害虫抑制も期待できます。家庭菜園でもよくあるアブラムシで困った時、私たちは「テデトール(手で取ーる)」ですが()、手助けしてくれるのがテントウムシ等の益虫です。通路のムギに付いたアブラムシを求めて益虫が集合。野菜に付いたアブラムシまでも捕食し、被害の拡大が抑えられます。また、エンバク(オーツ麦)は、キスジノミハムシ(ハクサイなどの葉っぱに小さな穴を無数に開ける)が嫌がる成分を生成することや、ネグサレセンチュウ(ダイコンなどの根っこに悪さをして生育の妨げや品質低下を引き起こす)の防除の役割があることもわかっています。通路のムギが被害を抑えてくれるって、スゴくないですか!? 身近な生物との共生と、他の植物との調和を意識した栽培を通じて、安心して食べられる野菜作りにも挑戦しています。難しさや失敗も多いですが、無事に収穫できたときには最高にうれしいですし、たくさんの方に食べてもらいたいという気持ちでいっぱいになります。これから収穫できる野菜については野菜セットとして発送することも可能ですので、関心を持たれた方は是非お問い合わせください!

カボチャツルとムギで満たされた通路


芽吹かぬ季節に思うこと

ぶどうは、芽を出し、蕾をつけ、花を咲かせて果実を実らせるという工程を毎年、淡々と繰り返します。ところが今年、その当たり前が崩れました。春になっても一つも新芽が出ない樹が現れました。反抗期!?かと思いきや、原因は「枝ぶくれ病」。病名に情状酌量の余地はあっても、被害は深刻です。ぶどう栽培では病気や害虫のトラブルは想定内ですが、「枝は伸びたのに蕾がない」「蕾はあるのに花が咲かない」といった事態は予測不能です。ぶどうは、今年の実を育てながら翌年の芽や蕾の準備まで進める働きもの。日々のお世話も、2年分。葉っぱを健全に保ち光合成でたっぷり栄養を蓄えさせる、枝の成長を止めて蕾が付きやすくする。2年分働く健気なぶどうに応えるためには欠かせません。「今年はうまく管理できた」と思っていても、答え合わせは翌年の春。出た答えが「新芽、ゼロ」だった場合、すでに手の打ちようがありません。詰みです。再試験も救済措置もなし、虚しい空間ができあがります。だからこそ、芽が出たという事実だけで安堵します。実ったぶどうを見ながら「今年の出来は」とハラハラ、ドキドキできるのも、ぶどうと自然と、ほんの少しの人の手、すべてがうまくかみ合った結果、奇跡の産物なのだと思うのです。本音です。当たり前のように出る芽は実は当たり前ではないことを思い知らされた春になりました。

芽吹かぬ2m……バッサリ切りました(泣)


編集後記

暖かさで元気を増す雑草に、げんなりする農家は多いはず。私もその一人です。うだるような暑さに体力を奪われ、振動に耐え草刈機を振り回して息も絶え絶え、の数日後。再び伸び始める草に、腹立たしさで叫んでしまいます。平日は職場で、休日は家で、逃げ場のない草刈りシーズンが始まります(私の休息はいつ訪れるのか)。草刈りが大っ嫌いな私に代わって憎き雑草を退治してくれる方、ぜひ糸魚川へ!(沢田)