あぐり通信 Vol.22(2025.10.15)

あぐり通信 Vol.22(2025.10.15)


なぜ高原野菜はうまいのか!?

秋、高原に広がる畑で育つ野菜が、なぜこんなにも甘く、みずみずしく感じられるのか。その秘密は、気候と大地にあります。高原は昼夜の寒暖差が大きいことで知られています。この気温差が、野菜にとってはまさに「うま味」の素。昼間は光合成で糖分をたっぷり蓄え、夜は冷え込みによってその糖分を消費せずにキープ。その結果、甘みの強い野菜が育つのです。特に秋は、気温が下がり始めることで、野菜の細胞がぎゅっと引き締まり、食感も抜群に。まさに「旬」と呼ぶにふさわしいおいしさが生まれます。さらに、今回紹介する野菜が育った場所は、ただの高原ではありません。ここは新潟県・糸魚川。世界ジオパークにも認定された、地球のダイナミズムを感じられる特別な大地です。フォッサマグナが走り、日本列島の骨格が交わるこの地域は、ミネラル豊富な土壌に恵まれています。その地層で育った野菜は、まさに「地球の恵み」そのもの。ミネラルや栄養がしっかり根に吸収され、味に奥行きが生まれます。自然のリズムと地球の記憶が詰まった糸魚川の高原、市野々の秋野菜。ひと口食べれば、甘みの中に深いコク、そして土地の力強さをも感じられるはずです。科学と大地が育てた秋のごちそうを、ぜひ味わってみてください。

ミニハクサイ(上)と小カブ(下)。市野々育ちのうまいヤツ!


稲刈りタイムリミット

実りの秋と言えば新米。この便りが皆さんのお手元に届く頃、あぐりいといがわではまだまだ稲刈りの真っ最中だと思います。今や農業は機械化の時代。収穫も、その後の乾燥やもみすりもほとんど機械に任せられます。なかでも稲刈り専用の「コンバイン」は刈り取り・脱穀・選別・藁処理を同時に行ってくれる、現代の稲づくりには欠かせない存在です。しかし、この便利なコンバインにも唯一にして最大の弱点があります。それは、水分です。雨はもちろん、朝露ですら機嫌を損ねるのです。機械内部のあらゆる部分に、水を含んだ葉っぱや籾が詰まってしまうのです。稲の収穫は、穂が出てから日平均気温の積算温度が約千度に達したタイミングで始まります。そして、収穫の黄金期間と呼ばれる適期はわずか7日間。驚くほど短いのです。適期を過ぎて刈り遅れると、米の品質が落ちてしまいます。私たちが稲を育てる市野々集落では、例年9月末頃から収穫適期を迎えます。しかし秋の天気は移ろいやすく、10月に入ると雨の日も増えます。刈り遅れの不安と闘いながら天気予報とにらめっこの日々が続くのです。空は晴れていても、雨の影響で土はドロドロ、倒伏してしまったら、人もコンバインも泣き出すかもしれません。無理に作業をすると、すぐにコンバインが故障してしまう……もどかしい日々が続く10月です。今年の稲刈りタイムリミットは10月末。さあ、どうなることやら。私たちと一緒に空を見上げ、手を合わせて「お願い、晴れて!」と小声ででも祈っていただければ幸いです。

こんな日ばっかりなら、言うことないのに……。


インターン生、再びー笑いと発見の座談会

この夏、あぐりいといがわを賑わせたインターンシップ生たち。その再会の舞台は彼らのホーム、東京農業大学でした。今回、同大学の地域創成科学科と農山漁村インターンシップの取り組みを紹介しようと、多忙な学生たちと教員の方にご協力をお願いして「インターンシップを終えて」というテーマで、座談会を開催しました。やや緊張した面持ちの彼らを見て、「大丈夫かな?」と一抹の不安がよぎりました。「リラックス!」と声をかけながらライターが進行をスタート。すると、なんのその、返ってくる答えはどれもしっかりしていて、感心するばかり。事前に渡した質問にカンペまで用意する周到さで、座談会は澱みなく進んでいきました。途中、園長の軽口に自然と笑顔がこぼれ始め、場の空気は和やかに。気づけば、盛り上がりすぎてまさかの時間オーバー。大成功のうちに幕を閉じました。インターンシップからひと月半以上経っていたにもかかわらず、まるで昨日のことのように語る姿が印象的でした。最終日に提出してもらったレポートを遥かに凌ぐほどの素晴らしいアイデアも飛び出し、時を経た今だからこそ見えてくる成長と気づきがありました。座談会を通じて、新たな発見と確かなつながりを感じられたことが、何よりの収穫です。この取り組みを長く続け、いつか市野々集落に農大生があふれる日を夢見ています。――東京を一望できるサイエンスポート8階で、学生を前に講義する自分の姿を妄想しながら。

座談会の内容は、あぐりのHPで近日公開!


編集後記

朝晩が冷え込むようになり、すっかり秋めいてきましたね。うだるような夏に心が折れかけていたのに、寒さが苦手な私は、あの暑さが恋しいと思うように。日照り続きの夏から打って変わって、雨が降る市野々で、思うように進まない稲刈りに心は……。それでも今年も新米をお届けできることに胸をなでおろしつつ「雪よ、まだ降らないで」と祈っています。(沢田)