あぐり通信 Vol.31(2026.07.15)
Share
今年のトマト栽培を振り返って
今年のトマトづくりを一言で言うなら、「トマトに振り回された!」でした。
毎朝ハウスへ行き、トマトを見る。そして心の中で、「今日は機嫌いい?」とトマトに聞くのが日課でした。もちろん返事はありません。でも、葉っぱや実を見れば、「今日は水が欲しい!」「ちょっと暑すぎる!」と、ちゃんと顔色で教えてくれます。
今年、一番悩んだのは水やりでした。少しずつ何回もあげればいいと思っていたら、「あれ? 奥まで水が届いてない……。」トマトより先に私の頭がカラカラです。結局、一回にしっかり水をあげる方法に変えたら、トマトは「それそれ!」と言わんばかりに元気になってくれました。次に待っていたのは暑さとの戦いです。ビニールハウスの中は35℃を超える日もあり、人間ならアイスを食べてエアコンの前で寝たい暑さです。でもハウスにエアコンはありません。代わりに遮光カーテンを開けたり閉めたり。「開ける? 閉める? 」と、一番忙しかったのは私よりカーテンだったかもしれません。葉っぱを取る作業も悩みました。取れば「取りすぎかな?」、残せば「ジャングルじゃないか!」葉が茂って、トマトを育てているのか森を育てているのか分からなくなる日もありました。
もちろん反省もあります。芽かき、誘引、実の整理……。仕事が多すぎて「今日はここまで!」と途中で切り上げると、翌日には、トマトが「昨日サボったでしょ?」とさらに仕事を増やして待っていました。トマトは休みません。人間だけが「今日は疲れた」と言っています。それでも、赤く色づいた実を見ると、疲れなんて吹き飛びます。「おっ、いい色になった!」と一人でニヤニヤ。「今年もいい男に育ったな!」なんてトマトに話しかけることもありました。周りに人がいたら、ちょっと恥ずかしいので心の中だけですが……。
今年の栽培で一番学んだことは、「トマトはウソをつかない」ということです。管理が良ければ元気に育ち、手を抜けばすぐに顔に出る。本当に正直者です。来年は今年の失敗を減らして、もっと水やりを上手にし、仕事もため込まず、「今年のトマトは最高だったね!」と言ってもらえるよう頑張りたいと思います。でも、たぶん来年も「水はこれでいいかな?」「暑すぎないかな?」と悩み続けるのでしょう。
結局、トマトづくりは「トマトを育てているようで、自分が育てられている」。今年もそれを、しっかり教えてもらったのでした。今年度のあぐりのトマトの収穫終了は8月上旬の見込みです。トマトおじさんとトマトたちの暑い戦いはまだまだ続きます。(トマト担当 モリヤマ)
続々と収穫期を迎えるトマトたち。
会いに来たよ
6月、ある人がやってきました。お一人は東京でイタリアンレストランを営むシェフ。もうお一人は大阪・東京を中心に活動するフリーライター。お二人とも、かれこれ7年近いおつきあいです。
今回、お二人には特別な用事があったわけではありません。仕事の打ち合わせでも、取材でもない。ただ「遊びに来たよ」「会いに来たよ」と、それだけのために時間をつくって来てくださったのです。「何かお手伝いを」と気にかけてくださいますが、来ていただくだけで十分。それが何よりありがたいのです。お二人はお客様ではありますが、それ以上に、私たちと同じ想いでいてくださる仲間だと思っています。こんな告白、面と向かっては言えません……こちらの片思いかもしれないから(笑)。
さて、今年は2年ぶりに「おてつたび」を利用しています。お手伝いをしながら旅をする「おてつびと」が7月末までに6名やって来ます。そして、昨年に引き続き、東京農業大学からインターンの学生も6名訪れます。来ていただく皆さんには、糸魚川を楽しんでもらったり、農業についての学びや理解を深めてもらったりと、何かを持ち帰っていただきたいという思いで接しています。商品を買ってもらったり、リピーターになっていただければ、もちろん嬉しいことです。ですが、何より私たちが望むのは、つながりです。
おてつたびやインターンで来てくださった方が、再びこの地を訪れることは、そう多くないかもしれません。持ち帰った何かが、その方の人生を大きく変えることも少ないでしょう。それでもいいんです。ときどき思い出して、「お変わりありませんか?」の一言でいい。そんなつながりこそ、私たちの誉れです。この夏の出会いで、新たなつながりが増えますように。(青木)

7年目で初の波打ち際の、シェフ。
おてつびとさん、時々は思い出してください。
編集後記
ズッキーニは一日で4~5cmも伸びるほど成長の早い野菜です。休みの日でもお構いなしに育つので、休日の朝は、「あと5分だけでも寝ていたい……。」そんな気持ちをどうにか払いのけ、畑へ向かいます。それでも、収穫したズッキーニが市内小中学校の給食に使っていただけたり、お客さまから「美味しかったよ」と一言をもらえたりすると、疲れもすっかり忘れてまた頑張れます。我ながら本当にチョロいものです。(サワダ)