米づくり 88の手間  番外編~入社間もない新人が経験したすじまきとは~

米づくり 88の手間 番外編~入社間もない新人が経験したすじまきとは~

米づくりの一年は「すじまき」から始まります。すじまきとは稲の種まきのこと。この「米づくりの始まり」作業に挑んだ、入社わずか1週間の新入社員が感じたことは……。


「米づくり 88の手間 その10 すじまき 稲の種まき」
(こちらの記事をお読みいただくと、以下の記事がより楽しくお読みいただけます)

 

機械を使った流れ作業は人を待ってくれずにどんどん進んでいきます

最初に担当したのは、機械から出てきた苗箱を軽トラの荷台にどんどん積んでいくパート。先輩方に言わせれば一番大変なところだということでした。作業が進むほどにわかったのは、先輩方の言う通りだということです(笑)。水をたっぷり含み土がみっちり入った苗箱を想像してください。

「ちゃんと重いです!」
「二の腕と腰が鍛えられそうです!」

しかも機械は人間の事情なんて知らずに、それをどんどこどんどこ運んできます。間に合わなかったらそのまま地面に落下して、目も当てられない姿になってしまうのです。お米の赤ちゃんをそんな姿にするわけにはいきません!赤ちゃんを取り上げる助産師さんになったつもりで大切に大切に取り上げてゆくのです。

「パワー!!」

重たいけど、優しくていねいに。

箱を入れるだけなのに……焦る

打って変わって、スタート位置の苗箱挿入係にもなりました。先輩方に教わっていざスタート。ここは唯一椅子に座って作業ができるパートということもあり、さっきまでとはまったく違う業務をしているのでは、と脳が混乱しそうなほどでした。

「しかし、気を抜いてはいけません!」

スタート位置ということは、私がミスをしたらこの後全ての作業に支障がでるのです。作業としては単純でも全てのパートがとても責任重大なのです。一心不乱に苗箱を入れ続け、気がつけば最後の一枚となり無事に終了できました。ほっと一安心。全体を見ながら他のパートにも気配りして進めていく先輩方はすごい!

慣れてくれば体が覚えて勝手に動くようになるのでしょう。和気藹々としながらも正確に手際良く自分の仕事をこなしていく先輩方を、憧れの眼差しで見つめながら……と言いたいところですが、自分のことで手一杯。そんな余裕もなかったと白状いたします(笑)。そんな、私のような初心者でも少しやり方を教わればそこまで難しくなくやり切れるのは、このすじまき専用の機械のおかげなんですねぇ。

「待ってくれない!」

なんて、散々文句たれてごめんね。君がいてくれるから私たちは美味しいお米を沢山作ることができます。これからも一緒に頑張ろうね。

すき間を開けないように、常に気を張っているのはなかなか大変です。

若くても、痛いものは痛いのです……腰いじめ

すじまき機の出番は終わり、残るは軽トラの荷台に乗った大量の苗箱。ここまでくればラストスパート、すじまき作業はあと少し続きます。もりもりに苗箱を積んだ軽トラが向かう先はビニールハウスの中。みんなで苗箱を一枚ずつ地面に並べていきます。隣り合う苗箱同士に隙間ができないように、下に敷いてあるビニールが破れてしまうので苗箱を引きずらないように気をつけます。この作業も重い苗箱を持って何度も立ったりしゃがんだりを繰り返す、腰いじめ作業です。

「腰たちよ、耐えてくれ。」

みんなで連携してスムーズに苗箱を置き終えたら、シートを被せて重しの木を置いて、ようやく……

「お疲れ様でした~」。

老いも若きもつらい苗箱並べ。ベテランスタッフたちは思わず声が……「イタっ!」

チームワークがとっても大事!

すじまき作業に求められるのは、各パートを正確に滞りなく行う力とチームワーク。最初から最後まで連携プレーを大切に、個人としての責任とチームとしての責任を顕著に感じる作業でした。

なんだかとっても大変そうに書いてしまいましたが、実際はとても楽しい作業です。それぞれに責任が伴うチーム作業なので、終わった後はみんなでねぎらいあって美味しいご飯を食べて、今年も米づくり頑張ろう!と、一致団結できます。お米づくりの第一段階である「すじまき」。

「無事完遂できて良かった!今年も美味しいお米に育ってくれますように!」

息のあった連携で、種をまいた苗箱がどんどん出来あがっていきます。



フォトギャラリー


並べ終わっただけでは終わりません。きちんと赤ちゃんにお布団をかけるまでがすじまきです。


今年もおいしいお米がとれますように。