あぐり通信 Vol.30(2026.06.15)

あぐり通信 Vol.30(2026.06.15)


満開は、誰が決めるのか

ジベレリン処理。種なしぶどうをつくる作業の1回目が終了しました。
昨年の「イヤ」の教訓を活かし、調合は変えてみました(前月号参照)。

さて、その1回目。実はぶどう農家にとって一番頭の痛い時期です。少なくとも私は。作業そのものではなく――いつ、やるか。タイミングが問題なのです。
その適期は、「満開から3日間」。早すぎると異形に、遅すぎると種が抜けない。ぶどう農家にとってはどちらも勘弁してほしい結果です。

全部花が咲けばいいんでしょ。そこから3日のうちにやればいいんでしょ。

言葉にすると簡単です。ところが、この「満開」が曲者です。一房数十粒の蕾が一斉に開く訳でもありません。ましてや、何千何万とある房の開花が揃うはずもありません。春、出始めた新芽は、必要なものを残して取り除きます。その際、開花が揃うように葉っぱの枚数も揃えて残していくのですが、それも虚しい抵抗です。

本当なら「コレは今日、コレは明日」と緻密にやりたいのです。小さなハウス栽培ならそれも可能。うちでもやっています。でも実際は、無理。というかイヤ。何万房とある畑で目印を探しながら、何度も行ったり来たり。足が棒になります。しかも梅雨時の作業で、チャンスも多くありません。雨はジベレリン の大敵です。

では。どうするか――片目はつぶるのです。

そう、全部は見ないのです。そして、「今日!」と決めるのです。適正な房数にするため何房かは切り落とすので、多少の異形も想定内です。労を惜しまず、何度も畑を歩き回るのが本来の姿でしょう。それでも、その労を補えるだけの経験を積んできたつもりです。私たちのぶどう園では、この胆力が、ジベの勘どころです。

「エイヤ!」で決めた1回目の日。満開どころか、全部が蕾のままの房が続きました。
手は止めず、足も止めず、静かに両目だけを閉じました。(青木)

片目で見た結果、満開判定。


ジオ給食への道のり

糸魚川市内の保育園や幼稚園、小・中学校では、月に一度「ジオ給食」が提供されています。地元で育まれた食材や郷土料理を取り入れながら、糸魚川の大地の成り立ちや自然の恵みを学び、ふるさとへの愛着や誇りを育むことが目的です。
その思いは、私たちの理念である「いのちとこの地をおいしくはぐくむ」にも通じるものがあり、いつも親近感を覚えています。

先日、そのジオ給食に私たちが育てたキャベツ「みさき」を使っていただく機会がありました。「みさき」は先のとがったタケノコのような形が特徴で、葉がやわらかく甘みのある品種です。今回はなんと、鹿肉を使ったジビエバーガーのサラダとして登場しました。

給食を食べた子どもたちは、その珍しい形に興味津々だったそうです。市の栄養士さんから「肉厚でやわらかいキャベツが鹿肉ハンバーグによく合い、とても好評でした」とうれしいお知らせをいただきました。私もその日、小学校に通う次男と長女に、 「今日の給食どうだった?」と聞いてみると「めっちゃおいしかった!」 「おかわりしたよ!」 と満面の笑み。生産者としてこれ以上ないご褒美をもらった気持ちになりました。

こうして学校給食へ食材を届ける取り組みですが、実は毎回ドキドキの連続です。今回も献立が決まり発注をいただいたのは4月中旬、提供は6月上旬。その間、「天候は大丈夫だろうか」「虫の被害はないだろうか」「ちょうどよい大きさに育つだろうか」と、気が抜け ません。無事に子どもたちのもとへ届けられた時には、ほっと胸をなで下ろしました。

次回は7月にトマトとズッキーニを提供する予定です。これからも日々の栽培管理を丁寧に行いながら、自分自身の健康にも気を配り、子どもたちの笑顔につながる野菜づくりに励んでまいります。(サイレンジ)

地元食材をパンにはさんでガブリ(糸魚川市教育委員会提供)


お待たせいたしました。お待たせしすぎたかもしれません。

4月6日に苗を植えたあぐりいといがわの大玉トマトたち。6月15日より、販売をスタートしました! 糸魚川市内の直売所・小売店、当社のウェブサイトからお買い求めいただけます。

前月号で紹介したように、1,250株のツイン苗を栽培しているので、人数(実を付ける主枝)で言えば2,500本の大所帯です。朝一番にビニールハウスに入ると「おはようさん!」と声をかけたくなるくらい。毎日トマトの樹と顔を合わせています。

昨年は苗の植え付け直後に冷害に泣かされ(あぐり通信 Vol.16参照)、多くの実が、あの大阪万博キャラクター「ミャクミャク」の姿のような奇形に。「今年こそは!」という思いで、管理してきました。
その結果なのか、ただの心配性なのか……。灌水よし!温度よし!葉っぱよし!実の様子よし!気付けば「健康優良児」。少々過保護気味に育ててしまったかもしれません(笑)。

青かった実が色づき始め、いよいよ「美味しい」が見えてきました。ここまで来ると、これからの収穫が楽しみ、な反面、「もう少しゆっくり大きくなってもいいんだぞ」という親心も……。今年はたくさん収穫できますように!引き続き、トマトたちのご機嫌をうかがいながら管理していきます。(トマト担当:モリヤマ)

採れたて!「赤いご褒美」


編集後記

家庭菜園をはじめました。畑を借り、休日にせっせと畝を立て種を蒔き、ついに先月、今年初の収穫を迎えました。今年の収穫第一号は「スナップエンドウ」。収穫の度、大きいボウルにいっぱい採れ、夢のような「スナップエンドウ食べ放題期間」ができました(笑)。挙句の果てに、茹でて職場に大量に持参し、全スタッ フに食べてもらいました。 「おいしいよ!」「甘いね」との感想に、にんまり笑顔になりました。(マツザワ)

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