「農業とは何か」を次世代に伝えたい 農業体験「いのちのみなもとに触れる夏旅」後編 新潟県糸魚川市

「農業とは何か」を次世代に伝えたい 農業体験「いのちのみなもとに触れる夏旅」後編 新潟県糸魚川市

期待と不安の中、夏旅がスタート

2022年8月26日からの3日間、「いのちのみなもとに触れる夏旅」と題した農業体験を行いました。

今回参加してくれたのは中学生3名。農業と縁遠い参加者が退屈しないかとやや不安を抱えつつ、オリエンテーション、「農業とはどんな仕事か」をスタートしました。日本の食料自給率の低さや農業の果たす役割、私たちがお客さまに伝えたいこと、そして夏旅のタイトル「いのちのみなもと」やあぐりいといがわのキャッチコピー「いのちとこの地をおいしくはぐくむ」に込めた想いをお話ししました。

その後、あぐりいといがわの農場見学を経て、宿での夕食づくりで初日は終了です。

ぶどう園名物オープンカーで。無邪気にはしゃぐ中学生。


リアルな農業を体感

翌日は夏旅のメインイベントである稲刈り体験。コンバインを運転し、稲を収穫していきます。初めて乗り込むコンバインの機能に驚きながら、おっかなびっくり運転する参加者のみなさん。真剣な横顔は、大人びて見えました。

コンバイン乗車の順番を待つ間は、鎌での手刈りにチャレンジ。ぎこちなかった鎌さばきもみるみる上達していきます。一心不乱に稲刈りする人、コンバインの緊張から解放されて笑顔になる人、何度もコンバインに乗りたがる人、それぞれが時間いっぱい稲刈りを満喫しました。

陽気な笑顔が、コンバインに乗った途端に真剣な表情に変わりました。素敵です。


ときには、ヘビの登場で田んぼ中に悲鳴が響いたり、ぬかるみに足をとられて身動きできなくなったりと、農業のリアルな場面も体験することに。それでも、最初は「汚れたくない」と、恐る恐る歩いていた田んぼを走り回るまでに成長(?)した姿は微笑ましいものでした。

コンバインの中で稲穂から取り外された米をコンテナに移すと、その迫力に「ワァー!」と歓声が上がります。


刈り取った米を専用のコンテナに移します。


勢いよくはき出される米。自分たちの刈った米の多さに大興奮。


その場でランチの予定が、ハプニング発生!米粒を覆うもみ殻の表面は細かなガラス繊維のようで、肌に触れるとチクチクします。半袖で作業していた彼らはもみ殻の「チクチク」の洗礼を浴びたのです。汗と泥、とどめの「チクチク」で、空腹より「シャワー浴びたい!」が勝った彼らは、お弁当とともに宿へ大急ぎ()。身を以てチクチクを経験できたことは、きっと来年の装備に生かされることでしょう(笑)。

宿でシャワーを浴び、空腹を満たした後は、わたしたちが育てる「いちのまい」のふるさと、市野々集落へ。わたしたちが、農業を続けることで守りたい土地「市野々」の空気を感じながら、「なぜ、守りたいのか」という根本の想いを少しでも知ってもらいたいという思いで、中学生のみなさんにお話ししました。


市野々集落で。もみ殻の山に登る無邪気な男子。もう「チクチク」を忘れたのか(笑)。


伝えることの大切さを教えてくれた

迎えた最終日は、2日間の振り返りをしました。「おしゃべりや食事の時間、コンバインと草刈機の運転がが楽しかった」といった無邪気な感想の中に、「米づくりの過程の多さに驚いた」「水の温度にまで気をつかうなんて知らなかった」「常に新しい技術を求めるところがスゴい」など、農業に触れて感じたことを言葉にしてくれました。

彼らが話してくれたこと。多くのことを感じてくれました。


何よりも、
「いのちのもとが、どのようにできてるか知れてよかった」
「地元を守る姿がかっこいい」
「想いを持って、実現のために行動することがすごい」という言葉には驚かされました。

初日に話した、わたしたちが農業をいとなむ理由、わたしたちが担う使命が伝わっている。夏旅を実現して、本当によかった。そう思える瞬間でした。

参加者の感想「夏旅に参加して」はこちら


後日談。
中学生を引率してくださった山本先生が「参加者の一人が『実は、市野々での話に感動して……涙が出そうだった』と話してくれましたよ」と教えてくださいました。
さらに、農業体験をサポートしてくれたスタッフは「初日のオリエンテーションを聴いて、参加者の目の色が変わった」と話してくれました。ちゃんと、伝わっていたんだと改めて実感します。
農業の現状や、農業を取り巻く環境は常に変化しています。「夏旅」のような農業体験を通して、次世代に「農業のリアル」を伝えていくこと。それも、持続可能な農業を目指す私たちの使命なのではないか、と考えさせられる3日間でした。

「夏旅」に参加してくれた中学生のみなさん、ありがとうございました。


「農業とは何か」を次世代に伝えたい 農業体験「いのちのみなもとに触れる夏旅」前編 はこちら


フォトギャラリー


コンバインの仕組みを説明すると、興味津々の表情。



汚れたくない一心で慎重な足取り。数時間後、田んぼを走り回ることになる(笑)。



笑顔が可愛い彼女も真剣な表情に。とても大人びてみえました。



米をコンテナに移す作業も。彼の眼差しも真剣そのもの。精悍で素敵。



コンテナいっぱいの米を特等席で見学。喜びに溢れる笑顔!



だいぶ慣れた頃。このあとヘビが登場し悲鳴をあげることになるとは知らず。



手刈り選手権優勝。一番刈っていました。



汚れることを嫌っていたとは思えない仕事ぶり。軍手が物語っています。



ぬかるみにハマった女子の救出作戦。頼もしい男子たち。



何がそんなに可笑しいか?!(笑)



捕まえたカエルを素手で。都会育ちもなかなか、たくましい。



何がそんなに可笑しいか?!パート2(笑)。



楽しそう……実は、早くシャワーを浴びたい(笑)。



初日にはこんな機械も運転しました。マリカーならぬ乗用草刈機。



参加者とスタッフで。楽しく素敵なひとときでした。ありがとう!