トマトができるまで 赤くなるまでにどんな手間があるのか

トマトができるまで 赤くなるまでにどんな手間があるのか

今や日本各地で生産され一年中楽しむことのできるトマト。
あぐりいといがわの看板商品のひとつ「樹熟金線トマト」は6月中旬から7月下旬に収穫の最盛期を迎えます。実は、この約一か月半の間に販売が落ち込む期間があります。それは家庭菜園でトマトが実りを迎えたとき。
当地糸魚川では地域の青果市場でのトマト取扱量がダントツで1位になるほど消費量が多いのです(原因は謎ですが())。そんな土地柄ですので、家庭菜園でトマトを栽培される方も数多くおられます。大抵は露地(ハウスなどの施設は使用しない)での栽培のため、ハウス栽培よりも収穫期は遅くなります。あぐりいといがわのトマトを求めて足繫く通ってくださるお客さまも、ご自身のトマトが赤くなるとぱったりと止まり……()
「おらのトマトが一番美味いわ!」という自称トマト名人がそこかしこに現れます。もちろん、手間ひまかけて愛着をもって育てたものが美味しいのは当然です。



収穫までの栽培工程をあげてみました

収穫期が長く、一回に収穫できる量もそれほど多くないトマトは、少人数のご家庭にピッタリで、一度はチャレンジしてみたい人気の野菜です。ところが結構手間がかかったり、病気にかかったりなど、少々難易度が高い野菜でもあります。

そこで、こちらではトマトにまつわるあれこれ(ときどき野菜)を紹介していきます。今回はトマトを育てるにはどんな手間があるのか、栽培工程を紹介します。あぐりいといがわの「養液隔離栽培」を例としていますので一般的なものとは異なる点もあるかと思います。(自動で行なわれる「施肥・潅水」は記載しておりませんが、一般的な栽培では必要です。)


※【作業時期】が記載されている作業は体験が可能です。

※  作業時期の期間内でも、都合により体験できない場合もあります。

№ 作業名
【作業時期】

内容・目的

1. もみがら収集・運搬
【10月中旬~11月上旬】
培地(くん炭)にするために袋詰め。
2. くん炭焼き
【12月中旬~3月上旬】
もみがらを焼いて炭にする。
3. 使用済くん炭撤去
【12月中旬~2月上旬】
4. 隔離ベッド修繕 シートの張り変えや、排水の詰まりなどの修繕。
5. 新規くん炭敷設
【2月上旬~2月下旬】
6. 潅水システムメンテナンス
7. 潅水チューブ設置 養液潅水用のチューブを這わせる。
8. 養液原液混和調整 肥料と水を混ぜて養液を作成。(シーズン2~3回)
9. マルチ敷設・穴あけ
【3月上旬】
地温の上昇や雑草抑制のためにビニールシートを敷き、植穴を開ける。
10. 誘引ひも設置
【3月上旬】
樹を目的の方向へ導くための麻紐を設置。
11. 殺虫剤散布  
12. 定植
【4月上旬】
植え付け。
13. 誘引
【4月上旬~8月上旬】
樹を麻紐に固定し、目的の方向へ導く。
14. 摘心 を適当なところで切り、樹の成長を止める。
15. 脇芽かき
【4月中旬~8月上旬】
不要な枝を取り除き、さらに樹の成長を止める。
16. トマトトーンつけ
【4月中旬~7月中旬】
花に溶液を散布し受粉させる。
17. 摘花・摘果
4月中旬~7月中旬
適正な個数にしてトマトに養分を集中させる。
18. 下葉かき
4月中旬~8月上旬
不要な葉っぱを取り除く。
19. 防除(殺菌・殺虫) シーズン3~5回程度。
20. 収穫
【6月上旬~8月上旬】
 
21. 選果
【6月上旬~8月上旬】
 
22. 出荷
【6月上旬~8月上旬】
 
23. 撤収
【8月上旬~】
 

 

大切なのはトマトと向き合うこと

トマトは樹が上へ上へと伸びていく作物で、果実が生る部分を「段」と呼びます。一段目、二段目、三段目と成長していきますが、基本的には同じ作業の繰り返し。作業自体は難しいものではありません。だからこそ、トマトを見る目が重要になってきます。
トマトに限らず、日々作物と向き合い観察することで、「今、何をしてほしいのか、何をすべきなのか」、作物の声が聞こえてくるようになります。
ずぶの素人から始めた私たちでも美味しいと評判のトマトを作れるようになりました。皆さんにもきっとできるはずです。「自称トマト名人」を目指してチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

次回以降は、作業の詳しい内容や作り方のコツなどをお話ししていきたいと思います。
どうぞお楽しみに。

 


実になったばかりのトマト。まだまだ向き合う日々が続きます。