米づくり 88の手間

米づくり 88の手間


「米」という漢字は、ばらばらにすると「八・十・八」の文字からできているように見えます。米を育てるには88の手間がかかることからこの字ができた、とも言われています。
(ちなみにあぐりいといがわの軽トラのナンバーは、1188いい米……なんちゃって)

 

いくつの工程があるのか 数えてみた

確かに、米づくりには多くの工程があります。煩雑で膨大な作業を、全て手作業で行っていた昔むかしには88の手間はあったかもしれません。機械化がすすんだ現代の米づくりにそんなに多くの工程はないはず……いや、待てよ。結構あるぞ。頭に浮かんだ作業だけでも、もちろん両手では足りない。

そこで、あぐりいといがわで行っている工程はいったいいくつあるのか、数えてみました。

※【作業時期】が記載されている作業は体験が可能です。
※  作業時期の期間内でも、都合により体験できない場合もあります。

№ 作業名
【作業時期】

内容・目的

1. 用水泥上げ

用水路内の清掃。泥や石を水路内から取り除きます。

2. 野ソ駆除

野ネズミのこと。畦に穴を開けるため漏水の原因となります。

3. 杉葉拾い

田んぼに落ちた杉葉を除去。田植えの障害となります。

4. 育苗ハウス屋根かけ

雪害防止で外していた屋根を設置します。

5. 育苗プール組立

雪害防止で分解していたプールを組立てます。

6. 塩水選

種もみを選別します。

7. 浸種

種もみに水分を吸収させ発芽を促します。

8. すじまき機設置

ベルトコンベア状の機械を設置します。

9. 培土・床土搬入

苗づくり用の土を搬入します。

10. すじまき
【4月下旬~5月上旬】

流れ作業で稲の苗づくり、稲の種蒔きです。苗づくり体験。作業詳細はこちら

11. すじまき機撤去

12. 育苗ハウス温度管理

ハウス側面の巻上により管理します。

13. 育苗プール水管理

常に浸水状態を維持するために水を補充します。

14. 畦塗り

漏水防止のために畦を修理します。

15. 元肥え撒き

肥料を散布します。

16. 田打ち
【4月上旬~5月中旬】

トラクターで耕起します。トラクター体験。作業詳細はこちら

17. くろ打ち

畦際の耕起不足部分をスコップで耕します。

18. みと口留め

水が溜まるように排水口を塞ぎます。

19. 水あて

田んぼへ入水します。

20. トラクター清掃

泥を落とし破損などを確認します。

21. トラクター作業機取替

ロータリーからハローへ。代かき用アタッチメントに取替えます。

22. 代かき
【4月中旬~5月下旬】

トラクターで土を泥状に撹拌。田面均平、漏水防止、植付効率向上を図ります。トラクター体験。

23. えぶりつき

えぶり(農具)により田面高低差を解消します。

24. 初期除草剤散布

25. 草刈 1
【4月~10月】

田植え機乗り入れ口を中心に。草刈機体験。作業詳細はこちら

26. 苗コンテナ組立

苗運搬用コンテナを軽トラに設置します。

27. 苗出し

育苗ハウスから苗コンテナに積込みます。

28. 田植え前 水量調節

植付けしやすいよう排水して水位を下げます。

29. 田植え
【5月上旬~6月上旬】

 田植え体験。田植え機体験。

30. えぶり

田植え機の轍を消去します。

31. 田植え機 清掃 品種替え

品種が混ざらないように清掃します。

32. 田植え機 清掃、点検整備

泥を落とし破損などを確認します。

33. 水見

水管理。常時適正水位を維持するために水を出し入れします。

34. 草刈 2
【4月~10月】

 草刈機体験。作業詳細はこちら

35. 用水草刈

主に用水路周辺の草刈をします。

36. 中干し

一旦水を全て落水し、乾燥状態にします。

37. 手畔泥上げ

田んぼ内水路の清掃をします。

38. 溝切り
【5月下旬~6月下旬】

間断潅水時用の水路を拵えます。溝切り機体験。

39. 除草剤散布

40. 穂肥 1
【6月~7月】

追加肥料を散布します。動力散布機体験。

41. 穂肥 2
【6月~7月】

追加肥料を散布します。動力散布機体験。

42. 草刈 3
【4月~10月】

 草刈機体験。作業詳細はこちら

43. 間断潅水

水の入排水。乾いたら入水します。

44. 電気柵設置
【7月中旬】

獣害(イノシシ)対策。電線を張り巡らせます。設置体験。作業詳細はこちら

45. カメムシ駆除

農薬を散布します。

46. 草刈 4
【4月~10月】

 草刈機体験。作業詳細はこちら

47. 水はらい

稲の登熟と機械作業効率化のため、完全落水します。

48. 乾燥調製機械清掃 使用前

49. コンバイン清掃 使用前

 

50. 稲刈り
【8月下旬~10月下旬】

 稲刈り体験。コンバイン体験。

51. コンバイン清掃

品種替時、品種混在を防止します。

52. 乾燥

穀物乾燥機で乾燥します。

53. 籾摺り
【8月下旬~10月下旬】

調製作業。もみ殻を取り外し玄米の状態にして袋詰めします。作業体験。作業詳細はこちら

54. 乾燥調製機械清掃

品種替時、品種混在を防止します。

55. 穀物検査

穀物検査員による検査~等級格付けします。

56. 精米

玄米の米ぬかを取り除き白米にします。

57. 電気柵撤去

雪害防止のために撤去します。

58. 育苗プール撤去

雪害防止のために撤去します。

59. 育苗ハウス屋根はずし

雪害防止のために撤去します。

60. 草刈 5
【4月~10月】

次年度春作業時の作業性向上のための草刈です。草刈機体験。作業詳細はこちら

61. 用水草刈 2

次年度春作業時の作業性向上のための草刈です。草刈機体験。

62. コンバイン清掃

全作業終了時。破損個所等を確認します。

63. 乾燥調製機械清掃

全作業終了時。破損個所等を確認します。


改めて知る手間の多さ

なんとその手間数、63にも及びました。もちろん機械の進歩により同時に行えるもの、省力化できているもの、あまりの大変さに諦めているもの(笑)も含まれていますが、それでもこの数。
昔の人たちは、これを全て手作業で行っていたのかと考えると、頭が下がります。もちろん、機械のおかげで労力は格段に下がったものの、機械のメンテナンスの手間数がかえって増えたであろうことも推測できます。

人力から機械力へと時代とともに変化してきた米づくりの方法。一方で「良い米、美味しい米」のためには、いつの時代も変わらぬ手間があります。その手間をかけてこそ、皆さまに喜んでいただける米をつくることができるのだと、改めて肝に銘じました。

次回からは、この手間のひとつひとつについてお話ししていきたいと思います。
どうぞお楽しみに。